年に数回ご来店の客人の話である。
年のころは50代半ばだろうか?
そのご婦人・・・いつもMEN’Sをお探しなのである。
“旦那さんへPRESENTですか?”
ワシの問いかけに・・・
『いぇ・・・息子のなんです。』
『こちらのを気に入って着てくれるので・・・』
・・・
『あっ・・・これにしようかしら』
『これ好きそうなので・・・』
会話の途中までは誕生日かなんかのPRESENTだと思っとった・・・
話が進むにつれてご婦人がなぜ息子さんの服を探しに来られてるのかが見えてくるのである。
もぅ何年も前の話だそうな・・・
『実は息子はバイクで交通事故をおこして・・・』
『奇跡的に命は助かったんですが・・・』
・・・
『ちょっと個性的なものが好きな子で・・・』
『せめて気に入ったものを着させてやりたくて・・・』
そのご婦人は・・・笑顔で語られるのである・・・
そこに悲愴感はみじんも見られない。
数分話をしただろうか・・・
息子さんの事故によるケガは・・・
ご婦人の笑顔とは裏腹に・・・ワシの想像をはるかに超えてたのである。
“息子さん 命があってよかったですね”
ワシの問いに・・・
・・・
『どうかな?』
『そうなのかな?』
『息子を見てるとそうは思えないことがあるんです』
『命があることが幸せとは・・・』
その先の言葉は聞けなかった・・・
なにを言われるつもりだったのかはたいがい想像ができる・・・
けどあえて想像しないように努めたのである・・・。
命があってよかった・・・
けして軽々しく言ったつもりはなく・・・本心で口から出た言葉である・・・
ただ・・・
世の中にはいろんな人がおられるのである・・・
人は見た目ではその人の人生までは見据えることはできないのである。
実は・・・
ごく普通に幸せに見えていつも笑っておられる人が・・・
なにか大きなものを背負って生きておられる人なのかもしれん・・・。
さんざんご苦労をされただろうに・・・
さんざん泣いてこられただろうに・・・
その辛さを人がまったく察しないようにするその姿は・・・
その人の器の大きさなのか・・・
それとも苦難を生きてこられた強さなのか・・・
帰り際に・・・
『また来ます』
『ありがとうございました』
最初から最後まで・・・ご婦人は笑顔である。
ほんの数分間の話のやりとりだったけど・・・
あまりにも印象深く・・・やわらかい話口調とたたずまいが胸に残り・・・
ここに書き留めさせて頂くことにした。
なにが幸せでなにが不幸なのか・・・ワシにはわからんけど・・・
息子さん・・・
このお母さんの息子で・・・
幸せだと思った。
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ご不便をおかけしますが宜しくお願い致します。
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