ある朝のことである・・・
『おはよ~ございま~す!!』
えらいでかい声がする・・・
ワシは車に乗っとるのに・・・はっきりと聞こえるほどの声である・・・。
その声の方を見る・・・
そこには・・・たった一人で行き交う車に向けて・・・
大声を張上げとる青年? ・・・がおった・・・
もちろん・・・あいさつを返してくれる人など誰もおらん・・・
ただ・・・彼は精一杯声を張上げて・・・笑顔の『おはようございます』である。
ワシは彼の顔に見覚えがある・・・記憶にある顔である・・・
最近では見んくなったが・・・昔から CHIANGMAI に来とる・・・
客人だと思う・・・?
多分間違いないと思うんだが・・・??
そして数日後・・・
ひょんなことから・・・彼の話題が飛び出してきた・・・
彼は先日の市議選に最年少で当選した・・・議員らしい・・・
そこでよ~やく彼の名前を知ることになる。
【野津なおつぐ】
ワシと彼はなんの付き合いもない・・・
ウチの店でも話なんかしたことがない・・・
小声の“いらっしゃい・・・と・・・ありがとう・・・”くらいか?
ただ・・・あの時の彼の姿に・・・少しばかりの・・・
“気持ちよさ”をもらってしもた・・・。
行き交う車になんども頭を下げ・・・笑顔でのあいさつ・・・
それも・・・一方通行のあいさつ・・・
そこには誰も付き添いなんか・・・おらん。
たった・・・ひとりで・・・
その姿がなんでか・・・頭に残っとる・・・。
ワシにはなんの力もない・・・
ワシにはなんもしてやれん・・・
ただ・・・
その日から・・・
彼を・・・
応援することに決めた。